コラム

2018.04.26

家紋がわからない人必見! 専門家が教える「家紋の探し方」


79%の人が「家紋」がわからない!?

知楽社の調査によると、「家紋」について20代~30代の男女にアンケート調査をしたところ、自分の家紋を「即答」できたのはわずか7%という結果でした。「確か……」と前置きをし、確信を持てない回答をした人が14%、「わからない」と答えたのが79%……。
極希に家紋が存在しない家もありますが、大半の方々の家には家紋が存在しています。
そこで、まずは家紋の探し方をご紹介します。ぜひ自分の「家紋」を見つけ、その由来やルーツを知ることで、家紋文化を楽しみましょう。

家紋(男紋)継承経路図

①親族に尋ねてみよう!

まず一番簡単で確実に家紋を知る方法は、両親や祖父母に「うちの家紋は?」と尋ねることです。
家紋について家族と話すことはあまりないと思いますが、両親世代、祖父母世代であれば、お墓の手入れや冠婚葬祭、着物を仕立てる際などに使用したことがあると考えられます。そのため、かなりの確率で自分の家紋を知ることができます。
家紋の話をすることで、家のルーツを教えてもらうことも多々あり、もしかしたら、「先祖は●●家に仕える武士で……」という話が聞けたり、家系図なども出てくるかも知れません。
また家紋は血縁関係で継承されることがほとんどです。
そのため、もし両親や祖父母が知らなくても、本家(多くは父方)の親せきに尋ねることで判明することもよくあります。

②お墓をじっくり観察しよう!

両親や祖父母、親せきに尋ねてもわからない場合は、家のお墓をじっくり観察すると、家紋が彫られていることがよくあります。
お墓に家紋をいれる習慣は、江戸時代の初期頃から始まったといわれており、その家のその家たる由縁を残すという考えがあります。
ただお墓に家紋があったとしても、その名称までは彫られていません。そのため家紋はあるけれども、何の家紋かわからないことがよくあります。
そのような場合は、カメラやスマートフォンなどで撮影し、帰宅後に、「家紋事典」やインターネットなどで同じ家紋を探すと、その呼称がわかります。
ただ家紋は似ているものが非常にたくさんあり、珍しい家紋の場合は調べても分からない場合もあります。そのような場合は、専門家に尋ねることをおすすめします。

③仏壇や五月人形を調べてみよう!

親戚に聞いても、お墓を調べても家紋がない、という方もやはりいます。
しかし、実はまだ調べるところはあります。それは自宅や親せきの本家で祀られている仏壇や端午の節句に飾る五月人形です。
一般的に仏壇では、観音扉を開けた状態で上部に見える欄間部分の中央に取付けられていることが多く見受けられます。ただ宗派によっては異なることもありますので、もし見当たらない場合でも、引き出しなどの中に、家紋が入った仏具が残されていることも多々ありますので、よく探してみてください。
また五月人形は元々武家に男児が生まれたときに、魔除けや守り神とする風習から生まれたものです。
そのため一般に普及した後も、鎧兜などの武具や旗印の飾りに家紋を入れることが多くあります。

④黒紋付を調べよう!

「どこを探しても家紋が見当たらない」と思う前に、黒紋付と呼ばれる着物を探してみてください。
男性用の黒紋付であれば、着物に入っている紋が家紋ですが、女性用の着物、留袖などの場合は注意が必要です。
女性用の着物の場合、結婚する前に作られていると女性の実家の家紋である場合や、主に母方の血筋によって受け継がれている女紋である可能性もあります。
女紋とは、関西を中心とする西日本で、女性だけがつける紋のことを指しており、これは家紋とは区別されていますので気をつけましょう。

母系紋(女紋)継承経路図

⑤専門家に相談しよう!

①~④を調べてもわからない場合は、有料にはなりますが、専門家に相談することをおすすめします。
一部のサイトや本などでは、「家紋は好きなものを使用しても問題ない」と記載されていますが、家紋には必ず「選ばれた理由」があります。
だからこそ、自分で好きなものを家紋にする前に、たとえ有料であったとしても、きちんと調べ、祖先の思いを引き継ぐことをおすすめします。
もちろん、すべてが喪失してしまっている場合や、極稀に家紋が存在しない家の場合は、新たに家紋を制定する必要があります。
しかし、その場合でも名字や出生地、などを辿ることで、専門家は何らかのヒントを示すことができます。
家紋がわからなくても、安易に自分で決めることなく、まずは専門家に相談してください。

 

家紋研究家・森本勇矢

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