コラム

2018.04.21

家紋無双について 家紋研究家・森本勇矢


今回のプロジェクトで全家紋を監修している家紋研究家の森本勇矢です。

そもそも家紋とは、元になる対象を簡略してシンボリックした「文様」から生まれたものです。その始まりは平安時代まで遡ることができ、これは日本のアイコン文化の先駆けでもあります。
そして日本では古くから『鳥獣戯画』や『百鬼夜行図絵』にみられるように、動物や物、付喪神など霊的存在をも人にたとえて、さまざまな事象をわかりやすく表現をしてきました。

この二つの固有文化、「アイコン」と「擬人化」の融合が、今回実現した「家紋無双」です。

家紋をキャラクター化することは、その家紋を使用している方にとっては、言語道断というご意見もあるかもしれません。私としても最初は戸惑い、今回のプロジェクトを受けるかどうかについては熟考いたしました。

しかし、知楽社の調査によれば、20~30代の方の「自分の家紋」の認知率はわずか21%であり、79%もの方が「家紋を知らない」というのが、昨今の現状です。

だからこそ日本の「家紋文化」を存続させ、さらに発展させるためには、今の人たちに受け入れやすい形で、まずは興味を持っていただくことから始めなければと考え、今回のプロジェクトを引き受けました。

そのため各家紋の擬人化については、全キャラクターのコンセプト制作から携り、コンセプトについては主に下記2点を重視して、各絵師様にご協力をいただきました。

①家紋の持つ意味や意義を取り入れたもの
②家紋のフォルムに重点を置いたもの

キャラクターを見れば、自然とその家紋のことがわかり、さらに興味が湧き、愛着を持っていただけるのではないかと考えています。また各キャラクターに対して、どのようなコンセプトがあったのかについては、こちらのコラムで随時解説させていただきます。

家のシンボルマークとなる紋章を各家庭が所有しているという国は、日本をおいて他に存在しません。日本の「家紋」は世界でも、そのデザイン性が高く評価されております。
今回の「家紋×擬人化」を通じて、家紋の意味や由来を知り、楽しんでいただくと共に、日本固有文化が持つ良さを再認識して頂ければ幸いです。

また今回のプロジェクトにおいては、家紋研究の師匠である高澤等先生をはじめ、各絵師様、友人、知人、家族と、本当にたくさんの方にご協力をいただきました。この場を借りて改めて感謝申し上げます。本当にありがとうございます。

日本の固有文化である「家紋」を後世に残すためにも、ぜひ皆様に楽しんでいただき、家紋に興味を持っていただけましたら幸いです。

家紋研究家・森本勇矢

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